RANDOM ―R&D広報誌
小売ビジネスに見る消費者理解 3/3
<私だけの一着>
 東レの「ラ・イー」はカスタムメイドの新しいアプローチ。自由が丘に店舗を持って、CADシステムを使って採寸し、お客一人一人に合わせたパターンを作る。シーズンに50型のデザイン、素材は200〜250種類が店頭に置いてある。スタイルと素材の組み合わせ、サイズは自由、襟やボタンなどのディテールも幾つかオプションがある。全て組み合わせればデパートのワンフロアぐらいの品揃えになるだろう。これをたった15坪でやっている。オーダーより値段が安く、既製服の2割増の価格である。価格設定は投資コストからではなく、市場では洋服はいくらなのか、オーダーだったらいくらくらいまでなら買うか、購買価値から考えた価格設定をした。3年目で採算ベースに乗せた。最近では、お受験の服をここで作ったら受かったというような事が口コミで広がり好評だそうである。受験塾等とのタイアップなども仕掛けているという。私だけの一着という消費者のニーズに合った商品の提供はこれからの展開が楽しみだ。

 事例はまだまだたくさんあると思うが、ところで、小売業にとって顧客とは一体何なのだろう。
■小売業にとって顧客とは
 ご存知の方も多いと思うがアメリカのコネチカットに「スチューレオナルド」というスーパーがある。お店に行って見ると、ここのモットーが“Our Policy”として岩に書いてある。
 モットー
1. 子供の行くところに顧客あり。(おじいちゃん、おばあちゃん、お父さん,お母さんも行く、子供が楽しいと思えるところをつくる)
2. 商売は商品が売れた時から始まる。
3. 苦情を言う客は最良の友。(ここがポイント)
次にルール
1. 顧客は常に正しい。
2. もし、顧客が間違っていたら、ルールの@顧客は常に正しいこれを再読しなさい。
 このモットーは世界的に有名だが、日本の小売業でもこの真理はあてはまるように思う。
■これからの小売ビジネスの課題

 最後に、これからの小売ビジネスの課題に触れてみたい。やはり、高感度で価格価値のあるものをどう自分のお店の商品に育て上げてゆくか、これが一番のポイントであろう。今量販店は厳しい、量販店は値段の事ばっかりで頭が一杯。ユニクロで3,900円、うちでは2,900円、何故売れないのかという感じである。実際に商品を見てみるといまひとつである。消費者の立場で、商品を比較する能力が必要ではないだろうか。買ってみたいという価値がないと、値段だけ安くても買わない。モノではなくライフスタイルを売る、単品ではなく、こんな感じの生活を手に入れたい、それにはこういうものが必要だ、といったようなアプローチが大切である。
 次に大切なのはキープフレッシュ。たまに来るお客はさほどお店が変わらなくても、気がつかないが、固定客が、毎日行きたい、毎週行きたい店になるためには、店がいつも同じでは飽きられる。常にあたらしく、キープフレッシュがポイントである。
 そして、セールストークよりも利用者の声。これは店頭だけでなくカタログ販売やウエブサイトにも言える事であるが、売り手側の「これは良いです」というお薦めだけでは信用されない。使ってみてこうだったとか、私はここが良かったという、利用者の生の声をどう汲み上げていくかもポイントである。
  競合には無いサービスも重要である。例えば新宿の高島屋ではバリアフリーの設備が充実しており、ゆったりと車椅子で利用できる試着室があり、手話の出来る販売員も多い。
 このような他店で真似のできないようなサービスの提供が求められている。
 そしてロイヤルカスタマー、自分のお店のファン作り。店のファンを生涯のお客様にする、生涯顧客化。これらが今小売ビジネスで非常に注目を集めているところではないかと思う。

 何れも顧客理解無くしては始まらない事ばかりである。

(マーケティング・フォーキャスト2002講演より−文責:編集部)


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