RANDOM ―R&D広報誌
超高齢社会のビジネスチャンスとマーケティング課題 1/2

R&D 主催マーケティングセミナー Marketing Forecast 2011 2010年11月4日
超高齢社会のビジネスチャンスとマーケティング課題
〜R&Dマーケティング・フォーキャスト 2011より〜
株式会社 リサーチ・アンド・ディベロプメント  小林 久美子

セミナーテーマについて
 2010年11月4日、ロイヤル・パークホテル(東京都中央区)において、弊社主催セミナー"マーケティング・フォーキャスト2011"が開催されました。今号では、「超高齢社会のビジネスチャンスとマーケティング課題」と題して行われた、このセミナーの内容を特集します。
 団塊の世代が定年年齢に達する2007年を控えた2005〜2006年には、"団塊シニア・マーケット"の盛り上がりに期待が集まりました。ところが現実には期待したほどの盛り上がりは見られず、"シニア・マー ケット"ブームは去ったように思われます。しかし、市場の高齢化は確実に進んでおり、シニアをターゲットとするマーケターの皆様の取り組みは、脈々と続いていることと思います。
 今回のセミナーは、そんな皆様のヒントになればと、学術研究者、コンサルタント、実務家といったさまざまな分野の方を講師にお招きし、「超高齢社会のビジネスチャンスとマーケティング課題」について多角的に考えてみました。
セミナー概要レポート
 最初に、ジェロントロジー(※)研究の第一人者である東京大学高齢社会総合研究機構の秋山弘子先生に、「超高齢社会の課題と可能性」と題して基調講演をいただきました。(※ジェロントロジー=老年学、加齢学)
 次に弊社野口から、「調査データでみるシニアのライフスタイルと消費の展望」と題して、シニアに関する調査結果をご報告いたしました。
 *秋山先生基調講演と、R&D野口の報告については、本号においてダイジェストを収録しています。
 続いて、パネルディスカッションが行われ、地域社会におけるシニアの課題を中心にご活躍されている有限会社アリア代表松本すみ子様から「団塊シニアの活動事例から考えるマーケティング」と題してのご提言、また株式会社テレマーケティングジャパン代表取締役社長(元ベネッセスタイルケア取締役)林純一様から「シニアに向けた事業開発の着眼点」と題して、ベネッセでのシニア向け新規事業開発に取り組まれたご経験をもとに、シニアに対する戦略的なマーケティング・アプローチについて事例紹介とご提言をいただきました。
 お二人の提言の要旨は以下のとおりです。
松本すみ子氏 提言要旨
・2007年当時の団塊マーケット戦略の失敗は、団塊世代の理解と正しいマーケティングに基づいた商品・サービスが提供できていなかったため。
・再雇用などで先送りになっていたが、元気なシニアの市場はこれから。
・シニアは「時間持ち」。生涯労働時間とほぼ同じだけの自由時間を持っている。
・今後、元気なシニアが地域社会に出ていく。この人々へのサービスには大きな市場可能性がある。
・自分たちが欲しいものがなければ、自分たちで作ってしまえというシニアが登場している。企業が提供する商品・サービスでは埋められない空白地帯がある。
・シニア世代を正しく見るマーケティングが必要。ぜひその人たちの顔をみていただきたい。
・ポイントは、シニアは自分たちが参加してやりたいと思っているということ。
・一つの業界ではなく、複数の業界が組んで行う、というような、複合的なアプローチが必要ではないか。
林純一氏 提言要旨
・元気シニアに向けた事業開発を手掛けた際、R&DのCORE(コア)の欲求構造(※下記参照)をベースにクラスタ分析をかけ、ターゲットとなるクラスタの属性を分析し、その人たちのニーズに対応するという手順をとった。
・事業開発のためにヒアリングを行い、結果として想ったことは、「シニアビジネスというビジネスは存在しない」ということ。シニア向けに何かやろうと考えるのではなく、他の世代向けに開発してきた商品・サービスを、拡大する市場であるシニアに対して展開するためには、どうフィットさせるべきか、と考える方がよい。
・既存の事業と同様に、対象を先入観なく丁寧に知ること。
・シニアを一括りにしない。細分化してとらえる必要がある。(人は自分が属さないグループはひとまとめに括りがち)
・シニアの細分化でも、年齢層別に区切るだけでは足りない。志向、生活、価値観、その世代の多様性を理解して初めて、共通性が見えてくる。
※欲求構造理論とは
R&Dの総合ライフスタイル調査COREの分析で使用している、社会変化や人との関わり方における生活者の精神的欲求のあり方を構造で表したもの。
顕在化⇔潜在化、混沌化⇔秩序化の2つの軸を使い、変動、参加、自由、安定の4つの欲求に整理している。
 
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