調査レポート

人々の本能から平成の時代を読む

平成31年4月9日
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント

人々の本能から平成の時代を読む
- 「人間=ホモ・サピエンス」ととらえる独自のアプローチ「サピエンス消費」-

 

株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント(本社:東京都新宿区、代表取締役社長:松田 武久、以下「当社」)は、人類進化の視点から消費行動を読み解く独自のアプローチ「サピエンス消費」の研究に取り組んでいます。
社会やテクノロジー環境の変化を背景として、マーケティングの世界では、日々移り変わる消費行動をとらえることが非常に困難になっています。そこで、当社による「サピエンス消費」では、ホモ・サピエンスの進化の過程で備わった、自らの遺伝子の生存に有利になる普遍的な「心の働き=本能」が消費を読み解く鍵になると考えています。
近年、“我々はどこからきてどこに行くのか”という普遍的な問いに表されるように、人類のルーツや未来(ポストヒューマン)についての関心が高まっています。具体的には、進化論をベースに人類の歩みや歴史を見直し、理解しようとする書籍やテレビ番組が増え、世界的なベストセラー『サピエンス全史』『ホモ・デウス』(ユヴァル・ノア・ハラリ著)や、NHKスペシャル『人類誕生』などが人々の関心を集めました。
この背景には、長期停滞化する市場、格差社会、孤独死、排外主義、テロリズム、核の脅威、自然災害といった脅威、また、バイオサイエンスやAI、ビッグデータなど最先端テクノロジーの急速な発達によって、現代に生きる我々の確固とした拠り所が失われつつあるものと、当社では分析しています。
以上のような背景から、当社では、「サピエンス消費」の分析フレームワークを用いて、「平成の時代の消費」を読み解く試みを行いました。「サピエンス消費」の分析フレームワークは、「生体維持」「繁殖」「協力」「神話信仰」という、進化の過程で我々に備わったと考えられている4つの本能(モジュール)をベースに構成されています。

4つのモジュール

  • 生体維持モジュール
    自分の遺伝子生存のために有利となる、自分の身体(生体)を維持するための食物摂取や捕食回避などに関わる本能
  • 繁殖モジュール
    自分の遺伝子を次世代に残すために有利となる、配偶者を獲得するための本能
  • 協力モジュール
    自分の遺伝子を生存させるために有利となる、他者に協力する本能
  • 神話信仰モジュール
    神や経営理念など、超越的な存在を信じることができる本能

以上の4つのモジュールを用いて分析した結果、他にはないユニークな読み解き結果が得られました。

様々な“揺らぎ”を経験した平成



4つのモジュールが揺れた、平成の出来事(トリガー)

 

●平成の出来事をモジュールに分けて整理してみると、各々へのトリガー(スイッチ)としてみることができます。色々な出来事が、私たちの“心“を刺激し、落ち着かない気持ちにさせているのではないでしょうか。 

●なお、朝日新聞社の世論調査によれば、平成を表す言葉の最多は「動揺した時代」であったという結果も出ています。(2018年4月30日付 朝日新聞社調べ ) 

モジュールを揺らした2018年のトレンド(1) 
ドラマ「おっさんずラブ」

 

●2018年のヒットドラマ「おっさんずラブ」について、平成読み解きに基づき考察してみたものが下図になります。 

●このドラマは、まさに平成の繁殖モジュールのトリガー、「男らしさの変化」に関わるドラマであると言えるでしょう。性差を超えた「ラブ」「ときめき」を絶妙なキャストで表現しています。 
一方でドラマ自体はSNSで拡散され、協力モジュールも働いているようです。 

●このドラマがヒットしたのは、それだけではなく、男性が男性に真剣に惹かれ、その真剣さに向き合ったことにより「愛することの尊さ」が伝わったことにあると言えます。「神話信仰」モジュールを揺らしたドラマになったと言えるでしょう。 

モジュールを揺らした2018年のトレンド(2) 
「うんこドリル」シリーズ

 

●では、2018年に売れた本「うんこドリル」シリーズはどうでしょうか。 

●この本は、まさに生体維持モジュールを突いていると言えます。人間の基本である「排泄物」にフォーカスし、それによりドリルで学習能力が向上するという、生きるための本能に働きかけています。 
「うんこ」を話題にしながら、それを面白がり仲間同士で繋がっていく点では、協力モジュールも刺激しています。 

●子供がふざけて言いたい言葉とされている「うんこ」ですが、それをキーに「排泄で学習する」という生体維持の基本ベースにはまったことで本自体も注目されたものと思われます。 

モジュールを揺らした2018年のトレンド(3) 
「eスポーツ」

 

●最後に、「eスポーツ」を見てみましょう。2018年は日本eスポーツ協会の設立やアジア競技大会での正式種目化などの大きな出来事があり、そのことがトリガーとなって“スポーツ“として神話信仰モジュールを刺激しました。今までは「テレビゲーム=遊び」という認識でしたが、 “スポーツ“と定義しなおすことにより、「スポーツはすばらしいこと」という神話性が付与されて注目されたのだと考えられます。 

●優れたアスリートの魅力の一つは、身体特徴・能力の高さが繁殖モジュールを刺激している からです。もし、eスポーツでの強さも身体特徴・能力の一つと感じられるようになれば、繁殖モジュールが刺激されることでより人気が爆発する可能性を秘めているように思います。 

「サピエンス消費」をもっと詳しく(1) 
外部環境が激変しても、心は700万年の狩猟採集時代に得た「進化本能」のままに

 

●人類がチンパンジーとの共通祖先から枝分かれして約700万年。そのほとんどを、食うか食われるかの狩猟採集生活で過ごしてきました。現代に生きる人間の“本能的な心の動き“は、その狩猟採集生活の環境に適応して(生き残った結果として)形成されています。

●現在の消費社会は100年間、スマホで繋がる世の中など10年足らずにすぎません。「消費者が変わった」とよく言われますが、数百万年かけて形成された人間の心の反応はそんな短期間で変わりません。 
 変わったのは外部環境であり、人間は狩猟採集生活向けに適応した心身のままで、激変する今日の消費社会という環境に向き合っている ということになります。

「サピエンス消費」をもっと詳しく(2) 
心は生存適応プログラム、直感的に動いて得を求める。

 

●サピエンス消費がその理論的根拠に置いている進化心理学では、私たちの “心も進化の産物“だと捉えています。人間の心は、危険な猛獣に出くわしたら、即”恐怖“を感じて逃げるでしょう。
また、甘みや脂肪分の多い食物を”おいしい”と感じて好んで食べます。このように、生存に適した“課題と解決のセット“として残ってきた心の機能を「進化本能モジュール」と呼びます。 

●進化本能には大きく2つの特徴があります。
まず、人間は考えることより先にまず直感に基づいて即作動するということです。また、行動によって得(生存に有利な報酬)を得ることに脳は快感を覚えるようにできています。 

「サピエンス消費」をもっと詳しく(3) 
4つのモジュールを備えた者が、生き残った

 

●「進化本能モジュール」は、大きく「生体維持」「繁殖」「協力」「神話信仰」の4つに分類することができます。これらは、遺伝子の生存に有利な心の働きとして機能別に進化したものですが、“これらのモジュールを備えた者だけが生き残った“ということでもあるのです。

●各モジュールには、それを発動させるトリガー(スイッチ)となる外部からの刺激があります。例えば、常に飢餓状態にあった狩猟採集時代を通じて、高カロリーの食物を好むようにサピエンスの味覚は進化しました(好まない者は生き残れませんでした)。今でも「フライドポテト(塩&油)」等のトリガーに対してそれを好むモジュールが強く作動してしまうので、飽食の現代下では逆に健康リスクに繋がる事態となっています。 

会社概要

会社名: 株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント
所在地: 〒163-1424 東京都新宿区西新宿3-20-2
代表者: 代表取締役社長  松田  武久
資本金:   30,000千円 
設立  :    1968年1月17日 
URL :  https://www.rad.co.jp/ 
事業内容:マーケティング・リサーチの企画設計、 実施及びコンサルテーション、 経営・マーケティング活動の評価及びコンサルテーション

≪引用・転載時のクレジット表記のお願い≫ 
本リリースの引用・転載時には、必ず当社クレジットを明記いただけますようお願い申し上げます。  
<例>「(株)リサーチ・アンド・ディベロプメントが実施した調査によると・・・」

お問い合わせ先

本リリースに関するお問い合わせ: 
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント 広報担当(野々宮 香子)

TEL:03-6859-2259 FAX:03-6859-2275 e-mail:radnews@rad.co.jp 

 

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