調査レポート

商品コンセプト開発のツール“CORE”①

商品の“象徴的価値”が問われる時代のリサーチ手法
商品コンセプト開発のツール“CORE”
“CORE”は人びとの欲求構造に光を当て、これからの商品コンセプト開発の方向性を示す道標である。

 需要を支えているのは人びとのニーズとウォンツである。では、何がニーズで、何がウォンツなのか。その実態は何なのか……。
 この部分はこれまでブラック・ボックス視され、あるいは聖域化され、手を触れられぬままに、“モノバナレの時代”、“軽薄短小の時代”といった現象面をとらえたキャッチフレーズだけがもてはやされてきた。そして、いつの間にか、このような、「時代の“気分”をとらえることが商品開発の重要課題である」的な風潮も生まれつつある。しかし、現象面を追うだけで、これからの商品開発はいいのだろうか。

 本稿では、“気分”というあいまいな言葉で象徴される、現象面の裏に密む人びとの欲求構造に光を当てるリサーチ・システム“CORE”(=Concept Research)を、これからの商品コンセプト開発の有力なツールとしてここで紹介する。

1.なぜ欲求構造の分析が必要か

 近年、経済のサービス化が進展し、その影響がマーケティングのさまざまな分野に及んでいるが、その背後には消費構造の変化だけではなく、人びとの消費態度の大きな変化が存在しているといえる。しかし、さらにその消費態度を掘り下げてみると、その根底で人びとの“欲求の構造”が確実に変化しつつあることが読みとれるのである。
 そこに見られるのは単なる“モノ離れ”ではなく、商品・サービスの“象徴的価値”を求めてそれらの序列を再配置しようとする心の動きであるといえるだろう。
 商品の機能的価値に加えてどのような“象徴的価値”を付加していくかが商品コンセプト開発の最大課題になっているが、そのような意味で人びとの欲求のあり方を研究することがますます重要になってきたといえる。
 しかし人びとの欲求分析のツールとしてのリサーチ手法が豊富に開発されて十分に機能しているかといえば、必ずしもそうとはいえないだろう。サンプリング・サーベイの“目の粗さ”が最近よく指摘されるのも、こうした状況に対するマーケターのイラ立ちを示しているともいえる。生活者の欲求構造を測定し、商品コンセプトの付加価値を予測できる科学的・実践的なツールの開発がさし迫った課題なのである。

コンセプト開発のツール“CORE”

 われわれは過去3年間余にわたり、コンセプト開発のためのリサーチ・システムの開発に全力をあげてきた。1980年秋から研究に着手し、多くの企業の支援を受けながら1982年秋に、“CORE”(Concept Research)のブランドでシステムを完成させた。
 “CORE”は個人3000サンプルのパネル調査を分析のベースとしてすでに2年間の研究が続けられているが、それらの成果を通じて“CORE”が人びとの欲求構造を分析する有力なツールであるとの確信を深めたので、ここにその成果の一端を公開して参考に供したい。
 具体的な分析に入るまえに、CORE設計の背景となる考え方を簡単に説明しておきたい。その内容は、なぜ欲求構造の分析が必要であるのかを、①商品コンセプト開発②生活行動システム③ライフスタイル分析の3点から述べることになる。

商品コンセプト=ターゲット×ベネフィット

 商品の価値は“何者か”に対する何らかの“効用”によって形成されている。前者はターゲット、後者はベネフィットと呼ばれているが、それらをどう理解するかが、まず問題となるだろう。本質的な意味でいえば、ターゲットはある個人や市場ではなく、人びとの心の中にある“潜在欲求”であるはずである。商品が常に探し求めているのは自分を理解してくれる優しい心である。
 一方、ベネフィットについていうならば、それがますますモノの属性から浮遊して象徴やイメージになりつつあることは周知のとおりである。人びとの心に映る商品の姿こそが大切にされるわけである。
 ところで、商品コンセプトは企業が商品に託して顧客に語りかけるメッセージであり、その情報価値が商品の付加価値となるといえる。他方で商品価値を決定するものが上述のターゲットとベネフィットであるから、商品コンセプトに関しては次の式が成立するといえる。
(商品コンセプト)=(ターゲット)×(ベネフィット)
 ここでターゲットとは人びとの潜在欲求であったから、その構造を直線上に投影すればその両極は精神的欲求と物的(生理的)欲求になるはずである。同様にしてベネフィットは、商品の機能的価値と象徴的価値を両極とした直線上に配置することができよう。これらの2軸を直交座標にすると図1が得られるが、この図は商品コンセプトの意味について3つの重要なポイントを示唆してくれる。

図1 商品コンセプトの4つのタイプ

 第1は、ここに示された4つの基本コンセプトはそれぞれ独自の個性を表しており、商品コンセプト開発の方向に4つの基本戦略があることを示唆しているという点である。
 第2の点は、商品の普及とは時間的変化にともなうターゲットの変化であるから、商品コンセプトは商品のライフステージによって図2のような流れで変化するということである。

図2 商品コンセプト化

 第3に、コンセプトの差異的優位性が明瞭で高い付加価値が実現しやすいのは第Ⅰ象限の革新的コンセプトであり、逆に第Ⅲ象限の合理性のコンセプトは付加価値が低く、シビアーな価格政策が必要とされるコンセプトであるという点である。
 以上の3点を統合して結論すればこうである。商品コンセプトの開発は人びとの精神的欲求を充足させる象徴的価値(Symbolic Value)の開発が基本であり、その革新的コンセプトが時代と共に変質していくことを読みとり、これを感覚化のコンセプトかハイクオリティのコンセプトのいずれかに方向転換させていく戦略的な努力が非常に重要であるということである。
 さて、商品コンセプトにおけるターゲットとベネフィットを先述のように規定するならば、最終的な顧客満足はターゲットとベネフィットとが一体化したときに達成されるといえる。
 言い換えれば、顧客満足の極大値はベネフィット=ターゲットのときに得られるのである。この前提に立つならば、われわれが成功裏に商品コンセプト開発を行うためには、ターゲットとしての精神的欲求とは何かを徹底的に研究しなければならないといえよう。

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会社概要

・会社名:
株式会社リサーチ・アンド・ディベロプメント
・所在地:
〒163-1424 東京都新宿区西新宿3-20-2 東京オペラシティタワー24F
・代表者:
代表取締役社長 五十嵐 幹
・資本金:
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・設立:
1968年1月17日
・URL:
http://www.rad.co.jp
・事業内容:
マーケティング・リサーチの企画設計、実施及びコンサルテーション
経営・マーケティング活動の評価及びコンサルテーション

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セールスプランニング部 坂根
TEL:03-6859-2281 e-mail:radnews@rad.co.jp

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<例>「牛窪一省 商品コンセプト開発のツール“CORE” より引用」

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