第10回「えーえいちぴー」ってなあに?

ぷるるっ(内線電話の音) イワキ 「はい」 アツコ 「イワキさんっ、えーえいちぴーってなんですか?教えてくださいっ」 イワキ 「まあ、おちついて。なんか聞いた覚えはあるけど・・・。今忙しいからまたあとでね」 と、いつもの・・・

ぷるるっ(内線電話の音)

「はい」
「イワキさんっ、えーえいちぴーってなんですか?教えてくださいっ」
「まあ、おちついて。なんか聞いた覚えはあるけど・・・。今忙しいからまたあとでね」

と、いつもの言い訳をしてイワキは受話器をおいた。たしか、10年以上前に出たセミナーで聞いた覚えはあるのだが・・・さて、なにか資料はあっただろうか?イワキは顎鬚を撫でながら記憶の棚と本の棚をあさってみた。記憶の棚からは「AHP」という文字を、本棚からは「AHP事例集」という本を探し出した。ざっと目次を見てみる。少しずつ思い出してきたところに。

ぷるるっ(内線電話の音)

「はい」
「わかりましたかっ!クライアントから催促されて、困ってるんですぅ~」
「そんなに泣きそうにならなくても。だいぶ思い出してきたから、できる範囲で説明するよ。降りておいで」

(ちなみにイワキとアツコは違うフロアで働いている)

「きましたっ!」
「早いね。じゃ早速。えーえいちぴーは「AHP」と書く。Analytic Hierarchy Process の頭文字だ。直訳すると分析的階層的過程って、何のことかわからないけどまあそれはおいておこう。
もともとは1970年代にピッツバーグ大学のT.L.サーティ教授が開発した意思決定支援の手法なんだ。OR(オペレーションズリサーチ)の分野ではあいまいな状況下での意思決定に有効であるとされて広く使われてきている。まず、この理論の成り立ちを見て、マーケティング分野であまり注目されなかったわけを説明する。最後に何故近年になって再び脚光を浴びるようになったのかを考えてみたい。いいかな?」
「イワキさん、なんか学者みたいですね」
「おだてたって、なにもでないよ。ゴホン、AHPでは最終目標、評価基準、代替案という3つの階層で意思決定が行われると考える。たとえば、アツコさんの最終目標が「結婚相手を選ぶ」だったとしよう」
「いやだ~、私まだそんなこと考えてないですぅ。選ぶほど人数が多いわけでもないしぃ」
「しょうがないなぁ。だから例えばの話だってば。話が先に進まないじゃないか。評価基準には何が考えられる?」
「なぁんだ、例えばの話ですね。なら、気楽に考えます。まず収入」
「いきなりシリアスな基準できたね」
「あとは、ルックスも大事だし、家族構成も問題かな。あっ性格を忘れちゃいけませんね」
「結構まじめに考えてるね。代替案はTOKIOのメンバーでいってみようか城島君、長瀬君、山口君、国分君とあと誰だっけ?」
「松岡君を忘れないでくださいっ」
「おう、そうじゃった。じゃあこれをAHPの階層構造にしてみよう。こうなる」
「この図の意味するところは、はじめに収入という評価基準で5人を評価する。次にルックスの評価基準で、というふうに全ての評価基準で代替案を評価した後で、評価基準相互の重要度を評価するということだ。こうすることによって5つの代替案それぞれに重要度のスコアが算出される。最大値を得た代替案を採用すれば間違いないですよ。というわけだ」
「なんだか簡単でわかりやすいですね。どうしてマーケティングの世界では流行しなかったんですか?」
「これからは文献の受け売りと僕の勝手な想像になるけど、ひとつには情報収集の煩雑さがあると思う。ひとつの評価基準について代替案相互の一対比較でデータを得るのがこの手法のツボなんだけど、今回のように代替案が5つあると城島君と長瀬君、城島君と山口君というふうに10問が必要になる。評価基準が4つあるから×4で40問になる。左右均等でないとバイアスがかかるからローテーションが必要にもなる」
「それくらいの調査票ならいくらでもあるじゃないですか」
「確かに、近頃はデータ処理が格段に進歩したからね。だけどもうひとつ問題があるんだ。それはたくさんの人の意見をどうやってAHPにかけられるようなデータ行列にまとめ上げるかという問題だ。平均値を使えばいいといわれてきたが、これだと評価基準の優先度と代替案の優先度との個人の中での関連性が保持できない。結果として間違った重要度を出してしまうという懸念があった」
「それがクリアされたからまた見直されてきたということですか?」
「すばらしい司会進行ぶりだね」
「まあ、モデレーターとしては一応プロなので」
「完全にクリアされたかどうかははっきりしないけど、ひとつふたつの提案があって、学会誌をにぎわしているらしい。ひとつはSEMといわれる構造方程式モデリングを使った提案で、早稲田大学の豊田秀樹先生が発表している。あと、WEB調査が多数実施されるようになったことも要因として見逃せないね。WEB調査なら質問順のランダム化や代替案の左右反転はお手の物だからね」
「すごくよくわかった気がします。ありがとうございました」
「もっと詳しいことは豊田先生のHPや行動計量学会にアクセスしてみるといいよ。AHPで検索するとAHPを実体験できる大学のHPもあるから、時間があるときにためしてみるといい。
あと、今日のお礼は別に必要ないからね」
「ドキッ!」(そそくさと去る)

【階層構造】

AHP(階層構造図)

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