第11回「判別分析」ってなあに?

この連載の第4回「回帰分析ってなあに」の末尾にちょっとふれて、しばらく忘れていた判別分析数と数量化Ⅱ類について書きたいと思います。 忘れていたのには訳があります。判別分析は医学や薬学など原因と結果がはっきりしたものには威・・・

この連載の第4回「回帰分析ってなあに」の末尾にちょっとふれて、しばらく忘れていた判別分析数と数量化Ⅱ類について書きたいと思います。
忘れていたのには訳があります。判別分析は医学や薬学など原因と結果がはっきりしたものには威力を発揮しますが、マーケティングで扱う購買行動のように、緩やかな関連しか認められないデータでは効果的な結果が得られないことが多いからです。
 

判別分析は戦後イスラエルに駐留していた米軍兵士の帰還順を決めるために、ガットマンが考案した「ガットマンスケール」に端を発します。林の数量化Ⅱ類は戦後の日本の刑務所が満杯になったため(ヤミ米関係で収容された受刑者が多かった)、仮釈放者を誰にすればよいか、を決めるために林知己夫先生が考え出されたものです。
 

ここで今一度、回帰分析、Ⅰ類、判別分析、Ⅱ類の関係を整理します。
 

回帰分析、Ⅰ類、判別分析、Ⅱ類の関係

従属変数は数量化においては外的基準と呼ばれ、独立変数は説明変数と呼ばれます。

ついでですから、尺度についても整理しておきましょう。上の表では大雑把に数値、分類と書いてありますが、4種類に分類されます。
まずは「分類」。これは数字に何の意味もない尺度で「名義尺度」と呼ばれます。1.男、2.女など、1と2を入れ替えても何の支障もない尺度です。
次に「数値」。この中には、順序尺度、間隔尺度(比例尺度とも)、比率尺度が含まれます。順序尺度は5段階評価のように優劣は与えられているが、2が必ずしも1の倍ではない尺度です。
マーケティングリサーチで扱うデータはほとんどが名義尺度と順序尺度だと思っていいでしょう。間隔尺度と比率尺度は「測定単位」があるという共通点があります。比率尺度はさらに「絶対零点がある」ことが条件になります。

今回のテーマである判別分析は分類される群がわかっているデータとその対象者に対する様々な測定値が得られている場合に使えます。ですから医療の場で使われることが多いのだと思えます。
『複雑さに挑む科学』(柳井・岩坪1976)には胃がん群とコントロール群を食生活や飲酒量、喫煙量などで判別した事例が載っています。(正確には数量化Ⅱ類ですが)

近頃では成人病検診に行ったその日の内に結果が出て、診断欄に「○○の可能性があります」と プリントアウトされているものを見ますが、たぶん判別分析で求められ た判別関数を用いて予測しているのだと思います。

マーケティングの場面ではどのような活用方法があるでしょうか。
製品評価あるいはコンセプト評価と購入意向の関係を判別分析にかけることで、製品やコンセプトのどの要素が購入に強く結びつくのかということがわかるかもしれません。しかし筆者の経験では従属変数が「意識」であるときはほとんどの場合「使える」分析結果が出たことがありません。
追跡調査をして、実際に買ったかどうかをデータとして取れれば少しは精度が上がるのかもしれませんが。どうせ追跡調査をするのなら、買ったかどうかではなく、何回買った、あるいは何個買ったかを聴取すればよいので、これは回帰分析や数量化Ⅰ類の分野ですね。
どうも「判別分析」について書き始めたのはいいもののマーケティング分野での適当な例を思いつきません。データと解析結果の例を見ていただきたいので、筆者が適当に作ってみることにします。
幸福感は項目別の満足度とどのような関係にあるかを解析したものです。解析結果として、判別分析の結果と数量化Ⅱ類の結果、さらに重回帰分析と数量化Ⅰ類の結果を載せました。この結果からわかるのは幸福感への影響の強さは(判別係数の絶対値の大きさ、カテゴリースコアのレンジから)健康、収入、食生活の順であること。交際は不満なほど幸福方向に働くこと(符号の向きから)。
相関比が0.8393と高く(最大は1)あてはまりがよいこと(作ったデータなので当然ですが)。重回帰分析と数量化Ⅰ類の結果をみると判別係数と偏回帰係数、カテゴリースコアが完全な比例関係にあることがわかると思います。数学的な証明は筆者の力の及ぶところではないので書けませんが、これらの分析手法には比例関係が成立していることを覚えておいても損はないと思います。

判別分析の結果 判別分析の結果
判別分析の結果と数量化Ⅱ類の結果 重回帰分析と数量化Ⅰ類の結果

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