第6回「ケンテイ」ってなあに?

「ケンテイしてください」と言われることがよくあります。これじゃあ何を頼まれたのか全くもってわからないのですが、それは後で述べることにして、そもそも「ケンテイ」とはナニモノなのでしょうか? 【検定】漢字ではこう書きます。広・・・

「ケンテイしてください」と言われることがよくあります。これじゃあ何を頼まれたのか全くもってわからないのですが、それは後で述べることにして、そもそも「ケンテイ」とはナニモノなのでしょうか?

【検定】漢字ではこう書きます。広辞苑によると、けんてい【検定】1:一定の基準に照らして検査し、合格・不合格・価値・資格などを決定すること。2:検定試験の略。3:〔数〕「仮説の検定」に同じとあります。さらに、かせつのけんてい【仮説の検定】有意水準に 照らして仮説が正しいかどうかを判定すること。

つまり、「~である」または「~でない」という仮説をたてたときに「その仮説が数学的に正しい」といえるがどうかを明らかにする作業をさすというわけです。

統計の教科書で「検定」のページを開くと、たいていの場合は「コインを投げる」話だったり、「サイコロを投げる」話がでてきて、リサーチの現場で働いている人たちは「仕事に関係のない話」と思いこんで読み飛ばしてしまう人もいると思います。そういった 人たちは数値Aと数値Bの間に「差がある」ということはできても、「統計的に有意な差があるといえるか?」と問われると「モゴモゴ」となってしまいます。統計的検定の考え方は数値を扱うものにとって非常に大事な基盤ですので、教科書でキチンと勉強して もらいたいと思います。何も数式を覚えて、検定用数表を調べて、検定結果をだせるまでにならなくてもいいのです。

データには様々な性質があって、それに対応する様々な検定の方法があります。「こういったデータにはこの検定」程度の知識は最低限必要だと思います。さて、マーケティング・リサーチの現場でよく扱われるデータは以下の2つといっても過言ではないでしょう。

1. 平均値(ウェイト付平均も含む) 2. 割合(パーセント)

いずれの場合もまず、「AとBに差はない」という仮説をたてることからはじまります。冒頭に書いた「ケンテイしてください」は、この仮説がないのでドウシヨウモナイのです。仮説の検定の考え方は相当にひねくれていて、誤りであって欲しい仮説をたてます。「無に帰して欲しい仮説」ということで、「帰無仮説」といいます。それに相反するものを「対立仮説」といいますが、この対立仮説の立て方によって「両側検定」だったり、「片側検定」だったりと検定の方法が異なります。

次に平均値の差の検定の場合なら標本数(n)、平均値(x)、標準偏差(s)から統計量Tを求めます。

平均値の差の検定(数式)

比率の差の検定の場合は標本数(n)と比率(p)から

比率の差の検定(数式)

求められたTの値と正規分布表で調べた値の大小関係でTが大であれば帰無仮説を棄却(棄てることですね)して対立仮説を採択することになります。「正規分布表で調べた値」と書きましたが、危険率をどう設定するかで見るべき位置が違います。危険率とは何%以下を「偶然には起こりえない」とするかということで、通常は5%、もっと慎重を期したい場合は1%を用います。危険率を5%と設定した場合の「Tと比較すべき値」は「両側検定」の時1.96、「片側検定」の時1.64となります。

「何だ、簡単じゃないか」と思われたでしょう。確かにこれだけですめば、ことは簡単なのです。しかし、ここでは十分に多い(50以上)標本数を前提にしたので、正規分布表を使いました。標本数が少ない場合には「t分布表」を使わなければなりませんし、その場合「自由度」という概念が必要になります。
統計量Tの算出式も「同一調査でえられた2つの群の平均に差があるか」(これが本稿で述べたもの)という場合と「調査でえられた平均とある値(たとえばノルム値など)との比較の場合は異なります。それだけでももう覚えきれるものではありません。
さらに分散の検定だの、適合度検定だの、独立性の検定だのといわれた日には「もうお手上げ」といわざるを得ません。これは検定の教科書を引き出しに一冊用意して、必要なときに必要な場所を開けるようにしておく程度で十分だと思います。

最後になりますが、どんなに適切な検定をして「有意な差がある」と結論づけられたからといって、それは「統計的に有意である」ことが保証されただけなのだということを忘れないで欲しいと思います。
集計表を読むときに全部読むのは大変なので、統計的に有意な数値だけを読みたがる「検定万能論者」がまれにいますが、これでは「差がない」ことに意味があるデータを見落としてしまいます。

まず、マーケターとして「データを読む目」を鍛え、見つけたデータについて、「検定する必要があればする」という流れならば「統計的検定」もある程度の意味があるといえるでしょう。

【参考文献】

『調査の科学』林 知己夫 1984

『統計のはなし』大村 平 1969

『入門パソコン統計処理(上)』菅 民郎 1990

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