#13 消費者心理を把握するために、消費者が「知ること」「理解すること」の意味を考えよう。

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消費者が「知る」ことが第一歩

市場調査の目的の1つに「消費者の心理を把握すること」があります。たとえば、「商品がどれぐらい知られているのか(商品認知率)」、そして「商品の内容や特長をどれぐらい理解してくれているのか」などがわかれば、マーケティングの大きなヒントとなるからです。

では、この「知る」「理解する」という2つについて考えてみましょう。まずは、消費者が商品について「知る」ということです。
一般的に消費者は、自分が知っている商品を購入しやすいといわれています。裏を返せば、認知してもらえない商品を売ることは非常にむずかしいということです。したがって、企業としては、「商品を消費者に認知させること」が購入してもらうための第一歩となります。

商品認知のレベルを考える

商品の認知については、アンケートで調査することができますが、そこで自社の商品が高い認知率を得ていることがわかったとしても、それだけで安心してはいけません。というのも「知っている」という心理の中にはレベルがあるからです。
ここで、商品(ブランド)認知度を調査する際の質問を見てみましょう。概ね次のような3つのパターンになります。

①「その商品名を最初に思い出す」(第一想起)

例)「〇〇といえばどんな商品が思い浮かびますか?」⇒回答例)「商品A」

②「商品名を思い出す」(純粋想起)

例)「〇〇といえばどんな商品が思い浮かびますか?」⇒回答例)「商品B」や「商品C」や「商品A」

③「商品を見る、または名前を聞けば認識できる」(助成想起)

例)「商品Aを知っていますか?」⇒回答例)「はい、知っています」「聞いたことがあります」

「商品Aを知っていますか?」と聞かれれば、①②③いずれのパターンの人でも「知っている」ことに変わりませんが、そのレベルには大きな違いがあります。

①では、「商品A」と回答されましたが、これは、同じ商品の中で最もよく知っているのが「商品A」だということを示しており、最も購入されやすいと考えられます。同様に、②のほうが③よりも認知度が高いので、購入されやすい状態です。消費者に「知ってもらう」ことの目標は、③よりも②、②よりも①の状態の人を増やすことです。

消費者に「理解」してもらう

商品を「知ってもらう」ことの次には、「理解してもらう」というステップがあります。

「私はあなたを知っている」と「私はあなたを理解している」という2つの言葉には、明らかなニュアンスの違い(むしろ大きな差とも考えられる)が感じられます。このことは、消費者の「理解する」という心理についても同様で、商品の名前を思い出せるだけでは「理解した」ことにはなりません。消費者が自らの視点で「この商品は自分にとってどういう商品であるか」がわかってこそ、「理解した」といえるのです。

たとえば、「音が出ない洗濯機」という商品があったとしましょう。ここでいう「音が出ない」というのは性能のことで、消費者にとっては単なる商品スペックに過ぎません。ですから、「音が出ない」ことを消費者が知ったとしても、「理解した」ということにはならないのです。

では、次のように理解してもらったとしたらどうでしょう。

「この洗濯機を使うと静かだから、夜でもマンションのお隣さんを気にせずに洗濯をすることができる」。これなら消費者にとってのメリットがハッキリと伝わっており、消費者が商品を「理解してくれた」ということになります。そして、「夜に洗濯ができるのなら、昼間は、ほかに使える時間が増えて助かる」と思ってもらえれば、さらに理解が深まったといえるのではないでしょうか。これなら、商品を買ってもらえる可能性が高まります。

「理解する」ということは、商品の「ユーザーベネフィット(使用者が商品から得られるメリットのこと)がわかる」ということなのです。

消費者に理解してもらうためのコミュニケーション

どんなに優れた商品&サービスだとしても、その良さや自分にとってのメリットが伝わらなければ、消費者は購入してくれません。したがって、ユーザーベネフィットを消費者に伝えることは、マーケティングにおいて非常に重要なことです。そのためには、企業は常に「消費者の視点」で物事を考えていくことが必要です。そして、「消費者がどのようなベネフィットを感じることができるのか」「それによって消費者の生活はどう変わるのか」など伝えていかないと、消費者に理解を求めることは難しく、売り上げも伸びません。

このように、消費者の心理を把握することは、マーケティングにおいて、とても重要なファクターとなります。そして、そのためにも、適切な市場調査をおこなうことが求められています。