#14 お客様に好意を持ってもらうにはどうするべきか

「好意を持つ」という心理とは

お客様に商品・サービスに対する好意を持ってもらえなければ、購買行動にはなかなかつながりません。
好意を持ってもらうには、マーケティングや市場調査による細やかなケアが必要です。ただし、好意を持ったお客様みんなが商品を購入してくれるわけではありません。「好意を持つ」ということは、お客様にとっては「購入してもよい」という段階だと認識するべきです。
また、場合によっては、好意を持ってもらうどころか、お客様から商品・サービスに対するクレームを受けることもあります。耳の痛いクレームは、できれば避けて通りたいと誰もが思うでしょう。しかし、お客様からのクレームの中にこそ、実はマーケティング戦略上の大きな改善のヒントが隠されているのです。

ハインリッヒの法則

あなたは、もし自分が購入した商品やサービスに不満があったとしたら、メーカーなどに苦情を言いますか?
おそらくたいていの人は何も言わずに、次からその商品を購入しなくなるのではないでしょうか。つまり、企業に寄せられるクレームは、実は一人の意見ではないのです。同じ不満を感じている人が何十倍、いや何百倍もいる可能性が高いのです。
アメリカの損保会社の調査員ハーバート・ウィリアム・ハインリッヒは、ある工場で発生した労働災害5000件あまりを統計学的に調べ、「1:29:300の法則」という労働災害における経験則を著書で発表しました。簡単にいうと「1件の「重傷」以上の災害があったら、その背後では29件の「軽傷」を伴う災害が起こっていて、さらにその背後には300件のあやうく大惨事になるような異常事態が存在している」という法則です。
これをビジネスに当てはめてみると、1件の大損害の裏に29件のクレームがあり、その背後には300件のクレームにまで至らない失敗が存在していると考えられるのです。

お客様のクレームを利用する

お客様は、企業が考えている以上に商品・サービスに対する不満を持っています。
企業は、お客様の不満・苦情を迅速に効率よく察知し、重大な損害を回避するだけではなく、不満足を満足に変換しなければ勝ち残っていくことはできません。クレームとして寄せられた意見から、商品やサービスの改善点を発見し、今後の商品企画にどう活かせるかがカギとなるのです。お客様からのクレームというのは、お客様が抱いた期待値と実際の商品・サービスとのギャップから生まれるわけですから、クレームはお客様のニーズそのものです。
ですから、クレームを受けたときは潜在化したお客様のニーズを知るためのまたとないチャンスです。お客様との1対1のコミュニケーションが生まれる貴重なチャンスでもあり、お客様から「積極的に意見を言ってくれるリピーター」に、そしてさらに売り上げに貢献してくれる「PR担当者」に変えてしまう、願ってもないチャンスでもあるのです。

まずは「怒り」を鎮めよう

クレーム対応に際しては、まずはお客様の「怒り」を軽減することに努めましょう。
しかし、お客様の「怒り」だけを解消しようとすると却ってマイナスの結果を招きます。昨今評判になっているアドラー心理学では、「怒り」を二次感情と定義しています。「怒り」の根底には「不安」「寂しさ」「悲しみ」「心配」「落胆」といった一次感情が潜んでいて、これらが満たされないときに「怒り」という感情が表にあらわれる、といわれています。つまり、大切にケアしなければならないのは実は「怒り」という感情表現ではなく、お客様の心の奥に潜む一次感情なのです。お客様が商品・サービスに対して感じている「不安」「寂しさ」「悲しみ」「心配」「落胆」を理解し、誠意を尽くして解消しなければなりません。
お客様の「怒り」の根底には、「○○であるべき」とか「○○しなければいけない」という、商品・サービスに対する、お客様個人が切実に抱いている期待や要望があるのです。

クレームから好意へ

つまり、商品・サービスに対する期待値が高いが故に、それがクレームとなってあらわれてしまうのです。そこにはお客さまの期待に沿うためになすべきことのヒントが含まれています。
クレームを寄せたお客様に対しては、事実関係を確認して、今後は同じことが起きないようにすることを必ず確約しなければなりません。お客様は、自分の意見が真摯に受け止められていると感じるはずです。さらに、後日原因が判明したら、速やかに伝え、早急に改善に着手することを明言し、商品やサービスに問題があることをもっとも早く知らせてくれたことに対してお礼の気持ち伝えましょう。お客さまも、自分の怒りが無駄にならずに、商品開発に活かされたとわかれば、気分がよいはずです。
こうなればしめたものです。お客様の商品・サービスに対する親密度は格段にあがり、好印象を持ってもらうことができ、これこそまさに「禍を転じて福と為す」ではないでしょうか。

クレームは宝の山

お客様からのクレームに対する企業側の意識は高まってきています。とある商工会議所では、お客様の身の回りのあらゆるクレームを集めてデータベース化し、そのデータを有料会員に提供しています。これらのクレームをもとに開発されたヒット商品も誕生しているようです。
「クレームは宝の山」です。お客様のクレームに誠心誠意耳を傾け、それを的確に分析し、マーケティングに役立てることができれば、お客様に「好意」を持ってもらえるはずです。クレームを有効活用し、お客様の満足をさらに高め、チャンスをしっかりつかみましょう。