#27 意識するべきは「売り上げ」と「利益」

意識するべきは「売り上げ」と「利益」

情報やデータを数値化する

マーケティング施策がどのくらい効果的に機能し、お客様の支持を得ることができているのかを「見える」ようにするには、情報やデータを数値化する必要があります。ウェブサイトの訪問者数、実際に商品を購入した人の割合、プロモーションの費用対効果といったさまざまな数値を、管理し、目標化し、シミュレーションし、比較し、効果測定し、改善し、軌道修正することにより、設定したゴールに近づいていきます。では、市場調査で得たデータも含めた、こうしたさまざまな「役に立つ」数値の中でもっとも重要な数値とは何でしょう? それは「売り上げ」と「利益」です。

「売り上げ」と「利益」

「売り上げ」とは、「商品・サービスの価格×お客さまの数」です。お客様がどれだけ満足したかが、はっきりと現れた数値です。そして「利益」とは、「売り上げ」から原価、人件費、物流費、広告宣伝費などの「費用」を差し引いた、「純粋な儲け」です。利益には、①売上総利益、②営業利益、③経常利益、④税引前当期利益、⑤当期純利益、の5種類があります。この「5つの利益」についてそれぞれ調べてみましょう。

売上総利益

売上高から仕入れ原価または製造原価を差し引いた、いわゆる粗利です。どの程度の粗利が確保されるべきかは業種・業態によって大きく変わってきますが、数値が月ごと、あるいは年ごとに大幅に上下している場合は対策が必要です。大きな変化がなく、ゆったりとした上昇ラインを描くのが理想的です。利益を原価に上乗せして、より高い価格を付け市場で売ることができるということは、市場がその商品・サービスに対して一定の価値を見いだしているということです。ですから「売上総利益」は、その商品・サービスの市場における競争力の強さを示しているのです。

営業利益

「営業利益」とは「売上総利益」から、販売費および一般管理費を差し引いたものです。販売費および一般管理費に含まれるのは、社員の給与や賞与、福利厚生費、広告宣伝費、交通費、水道光熱費、通信費、家賃、交際費、減価償却費など経営上必要なさまざまな経費です。売上に影響されない経費が多いので、期ごとにほぼ一定になります。「営業利益」が黒字であれば、本業では利益があがっているといえるでしょう。

経常利益

「営業利益」から、営業外の収益と営業外の費用を差し引いたものが「経常利益」です。営業外の収益というのは、銀行などから受け取る受取利息、受取配当金や所有している有価証券を売却した際の利益などのことです。営業外の費用というは、借入返済のための支払利息や、所有している有価証券を売却した際の損失などのことです。本業とは関係なく増減したお金を差し引いた利益とはいっても、資金繰りに際して大きな影響力を持ちます。金融機関は「営業利益」よりも「経常利益」を重視する傾向がみられるからです。

税引前当期純利益

特別な利益や特別な損失を特別損益として計上し、「経常利益」から差し引いたのが「税引前当期純利益」です。特別利益にあてはまるのは、たとえば長期間使用していた土地を売却して利益が出た、といったような臨時的な利益です。また、特別損失にあたるのは火災などの災害によって建物に損害が生じた際の被害額など、けして毎期継続して起こるわけではない特別な事情による損失です。「税引前当期純利益」は、文字通り法人税などの税金を支払う前の利益のことで、「税引前利益」「税引前当期利益」「税金等調整前当期純利益」などと呼ばれることもあります。「経常利益」が赤字なのにも関わらず、「税引前当期純利益」が黒字になっている場合、金額の大きい固定資産を売却したことなどによって、業績が良いように見えていることも考えられます。ですから、純粋な収益性の比較を求めるのなら、少なくとも3期分程度を比較しなければなりません。また「営業利益」や「経常利益」と比較することによって、本業と副業とのバランスを確認することも重要です。

当期純利益

企業の収益力を最終的にあらわすのが「当期純利益」です。「税引前当期純利益」から、法人税等を差し引いくと「当期純利益」となります。「当期純利益」は対外的な企業の評価指標でもあります。「当期純利益」の推移だけでなく、同業他社との比較によって、収益力の高低や成長力の大小が測定できるため、「当期純利益」を常に把握し、改善していくことが重要です。株式会社では「当期純利益」から株主に対する配当金が支払われるため、純利益が大きければ、その分配当金が多く支払われるのではという期待から、投資家からの資金が集まりやすくなります。

5つの利益がそれぞれ意味するもの

単順に黒字・赤字で「利益」を評価するのではなく、5つの利益がそれぞれ意味するものの違いを理解することが重要です。たとえば、実際は経営が傾いているにもかかわらず、一時的な収入が黒字の理由になっているような場合、その点を考慮しなければ、後々取り返しのつかない事態に陥ってしまうかもしれません。あるいは、本業で利益が出ていて、今後順調な売り上げの推移が見込めるはずなのに、赤字だからと方針転換してしまっては、効率的に事業を拡大することはできません。「5つの利益」を強く意識して、チャンスを確実に掴みましょう。