#15 重要!調査対象者の特性を把握するには?

つかみ難い消費者の実態

市場調査で得たデータを分析する際には、調査対象者をセグメントするのに有効な指標が必要です。

お客様の消費行動がわかりやすかった大量生産・大量消費経済の時代とは違い、多品種少量生産の現在、効果的なマーケティング戦略を構築するためには、お客様の実態を調査テーマに応じて、より的確に把握しなければなりません。ここで、どのような調査項目をどのような目的で設定するべきなのか考えてみましょう。

人口統計的特性

どのような市場調査テーマの場合でも必要なのが「人口統計的特性(デモグラフィック)」です。国の最も重要かつ基本的な統計調査である国勢調査の調査項目を基本にして考える場合が多いようです。国勢調査は5年ごとに実施され、大規模調査と簡易調査の2パターンがあり、末尾が0の年に大規模調査、末尾が5の年に簡易調査をおこないます。

①世帯員に関する事項
氏名、男女の別、出生の年月、世帯主との続柄、配偶の関係、国籍、現在の住居における居住期間、五年前の住居の所在地、在学・卒業等教育の状況、就業状態、所属の事業所の名称及び事業の種類、仕事の種類、従業上の地位、従業地又は通学地、従業地又は通学地までの利用交通手段、の15項目

②世帯に関する事項
世帯の種類、世帯員の数、住居の種類、住宅の床面積、住宅の建て方、の5項目
デモグラフィックに関わる質問は、尋ね方を工夫しないと回答を得られない割合が高くなってしまいます。予め、どんな切り口で集計・分析をするのかを明確にして、必要以上に個人情報に触れないように気を配りましょう。とりわけ、年令や未既婚、学歴、年収などは答えるのに抵抗感が強くなりがちです。たとえば、年令や年収などは、数字に幅をもたせていくつかの選択肢に括って答えてもらうなどの配慮が大事です。

職業分類について

職業を分類するのはとても骨の折れる作業ですが、調査目的や調査対象に応じてカテゴライズをする必要があります。

調査対象者の職業構成比と国勢調査の職業構成比を比べることによって、調査結果に歪みがないかどうかを判断することができるので、なるべく日本標準職業分類に近い分類を選択することが望ましいでしょう。平成22年の国勢調査の職業分類(日本標準職業分類)は、次の通りです。

管理的職業従事者、専門的・技術的職業従事者、事務従事者、販売従事者、サービス職業従事者、保安職業従事者、農林漁業従事者、生産工程従事者、輸送・機械運転従事者、建設・採掘従事者、運搬・清掃・包装等従事者、分類不能の職業

また、主婦や学生といった分類は、職業とは言い難いですが、一般的に市場調査では「無職」のカテゴリーをさらに詳しく分類しなければならないケースが多いため、一般的には主婦や学生といった選択肢を設定することが多いようです。

その他の特性

調査テーマによって、必要な特性は変わってきますが、おもなものとしては①心理的特性と②地理的特性があります。



①心理的特性(サイコグラフィック)
調査対象者の知性や感性に関する特性です。どのように感じ、どのように考え、何に関心を持ち、性格やライフスタイルはどのようなものか、を測ります。
サイコグラフィックは、通常、質問項目に対する反応として測定されます。たとえば、「健康に気を配った食事をしたい」という項目に、「そう思う」などのカテゴリーを選んでもらいます。年令や性別などの客観的なデータと違って、調査対象者の主観が大きく反映され、価値観や嗜好といった心理面での特性をより深く理解するためにたいへん有効です。
サイコグラフィックに踏み込んだ分析によって、商品・サービスがお客様に好まれた原因や興味を持たれなかった原因に迫ることが可能になります。

②地理的特性(ジオグラフィック)
地理的条件による分類です。国や地域、人口密度、気候、風土、文化的背景、交通機関の発達状況などの切り口で調査をおこないます。

重要視しなければならないのは?

従来、お客様の消費行動の予測には、デモグラフィックが重要視されてきました。しかし、さまざまな情報があふれ、SNSによるブームが起きたり、細分化された市場が続々と生まれては消えていくような現代の状況では、同じデモグラフィックを持ったお客様でも、まったく違ったサイコグラフィックを持っています。好みのファッションもメディアもレジャーも人それぞれ違います。したがって、消費行動予測の指標としてデモグラフィックとサイコグラフィックを組み合わせて考えることが必要です。
つまり、性別や年代別、職業別、年収別などのグループごとに分け、サイコグラフィック属性のデータをクロス集計することによって、回答の違いや特徴がわかりやすくなり、お客様の実態がより適切に把握できるのです。お客様の価値観や感性、性格などのサイコグラフィックを市場調査で正しく把握し、消費行動を的確に予測することが重要なのです。