#18 調査結果の質を高めるために、質問文の作り方について考えてみよう

ワーディングとは?

市場調査に用いるアンケート調査票は、一般的に「協力依頼文」と「質問本体」と「フェイスシート」の3つの部分から構成されています。中でも、質問文と回答カテゴリー(回答選択肢)からなる質問本体はテーマ部分と呼ばれる調査票の最重要部分です。これは、インターネット調査でも同様です。
質問本体の作成の際に気を配らなければならないポイントを整理してみましょう。アンケートの質問で用いる言葉遣いのことを「ワーディング」と呼びます。的確なワーディングで作成された質問文は、多くの有効回答につながり、集計・分析を滞りなく円滑に進めることができ、精度の高い調査結果を得ることができます。

平易で簡潔な言葉や文章で

第一に、わかりやすく、かつ可能な限り短い質問文を作りましょう。過剰に敬語を使ったりすると、わかりにくくなり、回答者がイライラして、読み飛ばしたりすることがあります。丁寧すぎてもいけないということです。
次は、答えやすくするために、記憶の範囲内で回答できる質問にすることです。ただし、回答者の記憶に頼って、過去の購入経験や使用経験を尋ねるリコール質問は、記憶の曖昧さから生じる誤差が大きくなるのでなるべく避けましょう。
回答の対象を「購入者」「使用経験者」のように絞りたいときは、その質問の前に「フィルター質問」を設けて、購入や使用経験を尋ね、該当者だけが次の質問に答える「回答分岐」形式にします。
また、質問を作る側は調査をする市場の専門家なので、一般の人が記憶していないようなことを質問してしまうということがしばしばありますが、これでは回答しようがありません。大切なのは、「調査対象者の立場に立って作る」ということです。

誰にでも理解できる言葉を使う

日常で使われている言葉を用い、誰にでも簡単に回答できる質問を用意しましょう。そして、専門用語は可能な限り使わないようにします。回答者が知らない用語が出てくると、調査に支障をきたすおそれがあるからです。
特に注意をしなければならないのが技術用語の類です。その分野に詳しい人を選んで調査をするという場合以外には、使わないようにしましょう。回答者が理解不能な技術用語・専門用語が使われていないかどうかをチェックするためには、関係者以外によるプリテストをおこないましょう。依頼の際には必ず、技術用語・専門用語のチェックのためであると伝え、判断が甘くなるのを防ぐことが大切です。

意味や範囲を明確に

誰が読んでも、「何を指しているのか」「何を尋ねているのか」が、はっきりとわかるようすることが重要です。主語をきちんと示して、「誰に聞いているのか」を明確にします。しつこくなってもかまわないので、質問ごとに、質問の範囲や回答する人が確認できる文章を入れましょう。
また、「使う」と「買う」は、はっきりと区別して用いなければなりません。その商品を使いたいと思ったとしても、お金を払ってまで使いたいとは思わない、といった場合が考えられるからです。さらに、「~ではないですか?」といったような否定疑問文は、「はい」と「いいえ」で答える場合にややこしくなるので使用を控えましょう。

誘導をしない

表現や言葉遣いによって回答に影響が出るような、あるいは、意図的に都合の良い回答を導くような質問は厳禁です。中立な表現を心がけましょう。
たとえば、「~は好きですか?」という尋ね方は×です。「好き」という回答が増えてしまう可能性があるからです。しつこい言い回しになるように感じるかもしれませんが、「~は好きですか?嫌いですか?」と尋ねるのが○です。

一つの質問で複数のことを尋ねない

「~はおいしくて、健康によいと思いますか?」といった質問は「ダブルバーレル質問」と呼ばれ基本的にNGです。「おいしいかどうか」「健康によいかどうか」はそれぞれ別の質問で尋ねなければ正確なデータを得られません。
日常会話や広告のコピーなどでも使用されることのある表現ですが、ついつい使いがちになってしまうので注意してください。

個人情報に触れる質問は最小限に

「年齢」「職業」「性別」「所得」「家族構成」などの人口統計的属性(デモグラフィック特性)に関する質問には注意が必要です。
デモグラフィック特性は、精度の高いデータ分析をおこなうためには最重要項目なので、できる限り詳しいデータを得たいところですが、デモグラフィック特性は個人情報そのものです。回答者は、できれば答えたくないと思うのが普通です。
特に調査する側にとって価値が高いのが、「年収」や「資産」に関わるデータですが、回答者の側からしたら、最も知られたくない項目です。回答拒否を少なくするため、たとえば年収をズバリ聞くのではなく、「○○万円から○○万円のあいだ」といった選択肢を設けるなどの工夫をしましょう。

上記のような質問文作成のポイントを押さえて、答えやすい質問文を作れば、必ず有効な調査データを得られるはずです。