#19 調査票回収後にチェックすべきポイント

データの信頼性

回答されたデータや回収した回答票を、1つずつ(一枚一枚)地道に積み上げて、分析結果を導き出す市場調査のアンケートにおいては、回答を回収した後のチェックもたいへん重要になります。データの信頼性が確保されていなければ、集計も分析も意味がなくなってしまうからです。ここでは、回収した回答をチェックする際のポイントについて考えていきたいと思います。

データ・クリーニング

調査において発生する誤差には、調査員がかかわっている場合には①調査員に起因するものと、②調査対象者に起因するものとがあります。調査員による誤差には、何らかしらの意志が働いて、結果をごまかしてしまうなどの意図的な誤差と、ミスによる誤差があります。調査対象者による誤差にも、「回答したくない」という意志が働いて、回答を拒否するなど意図的なものと、誤解や不注意、疲労などが原因のミスによるものがあります。
また、調査対象者を公募すると、謝礼品が高価なほど、重複応募が多くなる傾向があります。また、調査モニターの場合、本人以外が回答していることもありえます。こうした問題のある回答をチェックする作業を総称して「データ・クリーニング」と呼び、アンケート調査においては、重要な役割を担っています。そしてデータ・クリーニングの中核をなす作業が「エディティング」です。

エディティング作業

回答を集計しやすいように統一された形式に編集することをエディティングと呼びます。集計・分析の前に、回答に不備がないかを確認して、適正な処理をおこないます。たとえば、「選択肢の中から1つだけを選ぶ質問で複数を選んでしまっている」などの記入ミスを発見し、再調査をおこなったり、担当者の判断で適切な回答に置き換えたりします。
チェックポイントとしてあげられるのは、
・回答漏れがないか
・回答内容のあいまいさがないか
・回答に論理的一貫性があるか
・途中に回答拒否がないか
・いい加減な回答がないか
などです。このような不備がある回答に対して、最終的に有効票と無効票の分類をおこないます。「うその回答が多い」「同じ番号ばかりを選んでいる」「○のつけ方が規則的過ぎる」「無記入が多すぎる」「数値で求めた回答が常識外」なども無効票扱いになります。

アフター・コーディング作業

「その他」欄に文章で記入された回答や自由回答を、コンピュータ処理が可能なように分類する作業「アフター・コーディング」も重要なプロセスです。たとえば、好意的な回答なら「1」、否定的な回答なら「2」といったように自由回答に数字を割り当て、統計処理ができるようにします。手順としては、まず「コーディング・ガイド」を作成し、それに従って自由回答を振り分けていきます。

コーディング・ガイドの重要性

自由回答の内容の予想がつく場合は前もってコーディング・ガイドを作成することができるので、アンケート結果を集計・分析した報告書の納期を短くすることができますが、回答の予想がつかない場合は、調査終了後に実際の自由回答を参照しながら作らなければならないので、その分作業期間が延びてしまいます。
また、コーディング・ガイド作成のポイントは「選択肢の数は多すぎず、少なすぎず」「選択肢間に明確な違いが出るように分類する」など、選択肢の作り方とほぼ同じですが、コーディング・ガイドを適当に作ってしまうと、「その他」に分類する回答が多くなったり、新たに項目を追加しなければならなくなったりして、作業効率が著しく落ちてしまうので注意が必要です。

自由回答の役割

自由回答から得られる貴重な生の声を、コード化してしまうのはもったいないという考え方もあり、自由回答をそのまま書き出すことをクライアントから求められるケースもあります。しかし、定量調査に含まれる自由回答の役割は、あくまで定量調査の補足と考えるべきで、たとえ自由回答から新しい発見が得られたとしても、そこから結論を導き出すのは避けるべきです。定性データが必要ならば、はじめから定性調査をするべきです。

上記のように、データ・クリーニングはとても重要な作業であり、アンケート調査のあとには必ず行わなければなりません。インターネット・リサーチの場合、あらかじめ用意したプログラムによって、集計・分析を自動的に行うことができるので作業効率は劇的に上がります。また、エディティング作業(一部)を自動化することも可能ですので、信頼できるリサーチ会社に依頼することも検討してみましょう。経験豊富な会社であれば、アンケートごとに適切なコーディング・ガイドを作成でき、効果的なデータ・クリーニングが可能です。
的確な集計準備作業をおこなえば、精度の高い市場調査データが得られ、チャンスを確実にものにできるでしょう。