#21 「新製品開発」に必要な調査とは?

既存市場分析

マーケティングの4P、Product(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)のうち、市場調査と切っても切れない関係にあるのがProduct(製品)です。新製品開発のプロセスにおいて市場調査がどのように関わってくるのでしょうか?
新製品を開発するにあたっては、まず新製品を売り出そうとする市場はどのようになっているのかを把握する必要があります。市場調査によって、①市場の実態、②自社商品の評価、③競合商品の動向、④消費者のニーズ、を明らかにして、既存商品にはない新しい可能性を持ったコンセプトの開発に結び付けます。

コンセプト開発

コンセプト開発をしっかりおこなわないと、新製品開発が成功しても失敗しても、その理由がはっきりわからず、新製品開発のノウハウが蓄積できないということになってしまいます。既存市場分析にもとづいて固まったコンセプトを市場調査で補完し、製造、営業、広告など各部門の考え方が一貫性を持ったものになるようにしなければなりません。製品コンセプトを、文章化、ビジュアル化して調査対象者に提示し評価をリサーチするのが「コンセプト・チェック」です。「コンセプト・チェック」によってお客様によるコンセプトの受容性を把握します。評価ポイントは以下の5つです。
①理解度/わかりやすさ。もし、伝わらない場合、どうすればわかりやすくなるのかを考えることが、ネーミングやプロモーションのヒントにもなります。
②好意度/理解が好意・共感に広がるかどうかが重要です。
③魅力度/その商品が好きで、買ってみたいという気持ちを起こさせる力。
④新奇性/コンセプトの個性、既存品との違い。理解度、好意度、魅力度が高い評価であっても、競合商品と同じ評価だったら新製品として開発する意味がなくなってしまいます。
⑤購入喚起度/自分がお金を払って購入する意思があるかどうか。理解度、好意度、魅力度がどんなに高くても、身銭を切って買いたいと思ってもらえなければ意味がありません。

ネーミング開発

どんなネーミングにするかは、まず製品コンセプトにもとづいたアイデア出しから始まり、意味性・可読性・耐久性・記憶性などを判断基準にして候補を絞り込んだ後に、登録商標とのチェックをおこないます。ネーミングの調査は絞り込んだ3~5個の候補の、①親しみやすさ、②インパクト、③憶えやすさ、④差別性、⑤コンセプトとの整合性、などについて聞きます。

パッケージデザインの決定

パッケージデザインは、容器・包装の形態や材質、使用時の利便性、運搬・保管時の安全性を重要視して、お客様に対するインパクト、すなわちお客様が注目し、興味を持ち、欲しくなるようなデザインを選択します。さらに商品コンセプトにふさわしいものでなければなりません。パッケージデザインの調査では、評価ポイントとして、①新しさ、②目立ちやすさ、③総合評価、④価格提示後の購入意向、などをたずねます。

新製品の価格設定

伝統的な価格決定方式である「マークアップ方式」は、商品原価に一定のマークアップ(企業が決めた適正利益)を加えて売価とする原価加算方式です。この場合、市場調査はおこないません。ただし、戦略的な価格決定をするケースで、たとえばトップシェアを取るという戦略的目標があり、総コストを下回る価格を採用する場合、市場調査の助けが必要になります。市場調査が不可欠なのが「付加価値方式」の場合です。付加価値方式では、製造原価に流通経費をのせ、さらに付加価値を加え、価格を決定します。この「付加価値」を正しく判断するための材料として市場調査のデータが欠かせません。調査対象者側には、どんな質問に対しても「低めの価格を答える」傾向と、調査側へのサービス精神から「高めに答える」傾向があらわれることがあります。必要以上に高価格の回答を防ぐためには「自分が購入するとしたら、いくらなら買うだろうか」という聞き方をします。また必要以上に低価格の回答を防ぐために「いくら以下だったら、品質に不安を感じるか」と、購入後の使用場面を想定できるような聞き方もします。

製品ライフサイクルの把握

商品・サービスを市場に投入してから撤退するまでを、導入期・成長期・成熟期・衰退期の4段階に区切る考え方が製品ライフサイクルです。ライフサイクル上の位置を市場調査で把握し、マーケティングに反映させます。たとえば商品・サービスが衰退期に入ったからといって寿命が尽きたと見捨てるのではなく、これまでなかった機能や仕様を付加して新たな需要を生み出していくことで「既存市場の中で新たな成長サイクルへと導いていく」という戦略をとることが可能になります。

「新製品開発」に必要な調査を、しっかり把握できれば、データの裏付けのある新製品を市場に投入することができ、新たなチャンスが訪れるに違いありません。