#22 「市場シェア」について理解を深める

市場シェアの重要性

ある商品・サービスが市場全体の中で、どのぐらいの割合を占めているのかを示す比率が市場シェアです。市場シェアを高めることはマーケティングのひとつの目的です。市場シェアを高めることで売上げも増し、さらには、“スケールメリット”が生まれ、生産性や経済効率が向上します。市場シェアが明らかになれば、市場構造が把握でき、競合状態を分析する上での“ものさし”となり、自社の強みや弱みを判断する材料にもなります。 実際に商品・サービスを売るための確固たる戦略を立てるためには市場シェアを知ることが重要です。

市場シェアの推移を把握する

市場シェアを測定するためには、まず市場規模の算出が必要です。市場規模は業界紙などによって公表されている数字から導き出すのが一般的です。ある商品・サービスの販売額を市場全体の販売額で割れば販売シェアは求められますが、ここで問題になるのが、自社の生産額や出荷額のデータは揃っていても、競合他社の数値は、ハッキリとはわからないということです。そこで、市場シェアを測定するためには市場調査を実施して、最終消費の数値を推計することが必要になります。

マインド・シェアをチェック

ある商品・サービスの市場における占有率をあらわす「市場シェア」に対して、「マインド・シェア」は、お客様の潜在的な心理に占める割合です。マインド・シェアの測定には、「〇〇と聞いて何のブランド・製品を思い浮かべますか?」という質問に対する純粋想起率を調べる方法が多く用いられます。マインド・シェアが高ければ、ゆくゆく売上が伸びる可能性があります。マインド・シェアは将来の市場シェアに密接に結びついているのです。マインド・シェアが高いのに市場シェアが低ければ、流通チャネルに何か問題がある場合が多いと言われています。たとえば、広告の効果が出てマインド・シェアが高まったとしても、店頭に商品が無ければお客様が購入することができないのです。逆にマインド・シェアが低いのに売れている場合、広告戦略などの見直しが急務となります。

「クープマンの目標値」

市場戦略に、軍事戦略を取り入れた「ランチェスター戦略」は20世紀のはじめから研究されてきました。コロンビア大学の数学教授バーナード・クープマンの市場シェアに応じた戦術の考察は「クープマンの目標値」としてよく知られています。6つのシェア目標値について知っておけば、マーケティング戦略上、大きなメリットとなります。

①独占的市場シェア 73.9%
73.9%のシェアを超えれば、いわゆる「独占」市場となります。トップが絶対的優位に市場を支配している状態です。下位企業が何社あったとしても、業界の動向は容易に変わることはありません。

②相対的安定市場シェア 41.7%
複数の企業でシェアを争う場合、41.7%のシェアを占めれば安定的なトップの座を確保できます。他社の動向はけして無視できませんが、安定した事業展開が可能です。異業種への参入や、企業買収などの戦略が考えられます。

③市場影響シェア 26.1%
26.1%を上回ると、一歩抜け出た状態と判断できます。つまりこの値が強者の最低条件になります。逆転される可能性が高い状態の1位の場合と、1位を狙える2位の場合があります。どちらにしても、市場に強い影響力を保持しているので、新商品の投入や値下げに打って出ると、下位企業が追従してくるケースが多く見られます。

④並列的競争シェア 19.3%
19.3%の市場シェアを獲得すれば上位グループに分類できます。19.3%が業界1位の場合は、安定的トップの地位をどの企業も得ていない状況であると言えます。つまり数社で市場シェアを分け合う混戦状態です。競合他社よりも先に市場影響シェアである26.1%を獲得することが目標となります。

⑤市場認知シェア 10.9%
お客様がその企業のことを純粋想起できるシェアが10.9%です。競合他社から存在を認識されている状態です。しかし、新商品の投入や値下げをおこなっても他社に注目されません。そこを逆手に取り、既存の商品にはない新たな価値を生み出すような新規事業に着手すれば、上位企業が対策を準備する前に、新たな市場で独占的市場シェアを獲得できる可能性もあります。

⑥市場存在シェア 6.8%
6.8%のシェアは市場において存在を許される下限です。お客様が助成想起可能なレベルです。6.8%以下のシェアしか維持できない商品・サービスは市場からの撤退を検討しなければなりません。その一方、新規参入する場合には6.8%が最初の目標値になります。

クープマンの目標値に基づいて、市場シェアに応じた具体的な方策を立案すれば、チャンスをみすみす逃すことはないはずです。