#24 カスタマージャーニーの必要性

ユーザーの多様な購買行動を分析する手法

ひと昔前は、お客様が商品・サービスに関する情報を手に入れようと考えたときに、頼りになるのはテレビや雑誌や新聞といったマスメディアだけでした。しかしITの進歩によって、現在ではPCやスマホなどによって、取得できる情報の質も量も飛躍的に拡大しているため、お客様は複数のチャネルを行き来して、商品・サービスを購入しています。企業は、自社のブランド価値の維持・向上のために、お客様とのあらゆる接点を重要視しなければなりません。
現代の複雑化した購買行動を把握するにはたいへんな困難が伴うため、多様な価値観を持ったお客様がどのように行動して最終的に購入に至ったかを分析する手法として、注目が向けられているのが「カスタマージャーニー」です。

お客様が商品の購入に至るまでのプロセス

「カスタマージャーニー」とは、お客様が商品・サービスを知ってから、商品・サービスについて学習したり、比較検討したり、最終的に購入や登録に至るまでの道筋を「旅」に見立てたものです。お客様の一連の行動および心理の流れを時系列に並べ、ポイントごとにお客様の行動、感情、思考、抱える課題を洗い出すという考え方です。全体をマップに落とし込んで可視化したものを「カスタマージャーニーマップ」と呼びます。カスタマージャーニーマップの必要性はいくつかのポイントに分けることができます。

①視野が広がる
マーケティング戦略を考える際には、たとえばPCやスマホを中心に、ネット上の観点からの発想が多くなりがちです。カスタマージャーニーマップは多くの情報を整理することができ、プロジェクト全体を直感的に把握できるため、広い視野が獲得でき、効果的な施策を練るのにたいへん役立ちます。

②お客様目線で商品・サービスについて再確認できる
商品・サービスに興味を持ったお客様が必要としている情報は、「旅」の各時点で異なるので、最善のアプローチ方法はその都度変わってきます。カスタマージャーニーを理解すると、それぞれのステップでお客様が抱える課題や必要としていることがはっきりするので、よりお客様の立場に立ったマーケティング施策を立てることができます。

③プロジェクトに携わるメンバーの共通認識が作れる
図式化されたカスタマージャーニーマップを用意することで、複数の人が短時間で、直感的にプロジェクトの全体像を理解できます。お客様の行動に対して、どんな目的でどんな施策をおこなっているかを共有できれば、メンバーの目的意識も高まります。

カスタマージャーニーマップの作成

①ペルソナの設定
対象となる「ペルソナ」を設定します。「ペルソナ」とは、商品・サービスに対して興味・関心を持つお客様がどのような人物なのか、ターゲットとなるお客様を分析し、実際にその人物が存在しているかのように一人の人物像にまとめ上げたものです。ユーザーインタビュー、アクセス解析、購買履歴データ、などを参照して、情報を集めます。また、実際にお客様と顔を合わせる機会が多い、営業部門や販売部門に協力をあおげば、質の高い情報を得ることができます。年齢、性別、居住地、職業、役職、年収、趣味、特技、などのプロフィールを始めとして、価値観、家族構成、生い立ち、休日の過ごし方、ライフスタイル、よく読む雑誌やWebサイト、よく使うソーシャルメディア、などリアリティのある詳細な情報を設定します。

②フェーズの設定
マップ作成の目的やプロジェクトの内容に合わせて、横軸のベースとなる「フェーズ」を設定します。「認知」「興味・関心」「情報収集・理解」「比較検討」「購入」「評価」「継続購入」、などが一般的です。それぞれフェーズでペルソナがとる行動を洗い出し、明文化して整理します。ここでの作業はあくまで仮説を立てているので、想像力をフル回転させながらおこないます。

③定量調査・定性調査
ペルソナの設定とその行動として想定した内容が正しいかどうかを検証します。実際のお客様へのインタビューや、アクセス解析ツールなどを使って調査を行います。お客様アンケートで、実際の声を数多く集めてもいいでしょう。仮説を検証すると、多くの場合、想定していた行動と異なることが出てきます。実際のお客様の声をもとに、ペルソナの行動を修正していきます。

④マップ化
メンバーで議論し、お客様の行動をマップに落とし込みます。それぞれのタッチポイントで、お客様の心理がどのように変化したのかを考え、マーケティング施策のヒントにします。縦軸は「思考」「感情」「行動」「タッチポイント」などが一般的です。ポイントになるのは「ペルソナの感情や行動に基づいたものになっているか」という点です。「お客様目線で作られているか」「こうであってほしいという願望が入っていないか」に注意して、見直しをします。

データ分析は必須

より精度の高いカスタマージャーニーマップ作成のためには、従来のログデータに基づくアクセス解析では、マーケティング効果の検証はできても、関心度の高まりや購入意思決定要因の解明といった質的な情報把握は困難です。Web 上のユーザーデータを分析し、アンケートデータと組み合わせることで、Web サイトやWeb 広告にアクセスしている人は誰か、どんな行動特性か、どう行動したか、結果どうなったか、を明らかにすることができます。
カスタマージャーニーを理解・実践することで、お客様目線でのマーケティング施策の立案・実行ができます。さらに多様化していく購買ニーズにも対応でき、新規顧客の育成にも繋がります。繰り返しメンバー間で確認をとりながら、施策が正しい方向に向かっているのかを常に問い続けていけばチャンスはきっとつかめるでしょう。