#26 消費者行動と市場調査

購買行動プロセス

お客さまがどうやって商品・サービスを選び、購入しているのかを知るためにはどうしたらよいのでしょう? 消費者行動のメカニズムをお客様の心理面から探り、お客さまの行動を予測し、その予測にもとづいてマーケティング戦略を構築できれば、成功の確率は大きくなるはずです。
ウェブサイトやスマホアプリ、メール、SNSなどの発達によって、お客さまの購買行動はますます多様化しています。お客さまは一見、自由気ままに行動しています。しかし、気ままに見える行動が「何に拠っているのか」を究明していかなければ効果的なマーケティング・マネジメントはできません。理解しにくいお客様の行動を心理学的な視点から見て、論理的に説明するために、お客さまが商品・サービスを知り、選び、使って、破棄するまでのすべての経験もしくは心理を、段階的にあらわす行動プロセスのモデルが作られています。購買行動プロセスには様々なモデルがあります。

VALS

お客様の購買行動プロセスを確実に捉え、マーケティング戦略に投影する方法として適切なアプローチは「ライフスタイル分析」であるといわれています。個人の価値観が多様化して、これまでの人口統計や社会的、経済的な特性をもとにしたセグメンテーションでは限界があるため、個人のライフスタイルを中心に据えた新しい考え方が生まれたのです。ライフスタイルのセグメンテーション手法として有名なものに、米国のSRIインターナショナルが提唱するVALSがあります。VALSとは、Values and Lifestylesの略で、アメリカの消費者を9つのセグメントに分けてライフスタイル分析をおこないます。日本の消費者に合わせたバージョンも用意されていて、市場調査で大きな成果をあげています。

欲求は変化し続ける

VALSの理論的背景になっているのが、有名な「マズローの欲求5段階」です。どのようなものか調べてみましょう。
アブラハム・マズローは、1908年にニューヨーク・ブルックリンに生まれた心理学者で、人間心理学の生みの親と言われています。「マズローの欲求5段階」の基本的な考え方は、「人間は低次元の欲求が満たされるにつれて、より高次元の欲求に重点を移す」ということです。

5つの欲求

マズローの欲求5段階というのは次の5種類です。

①生理的欲求
「食べたい」「飲みたい」「眠りたい」など、生きていく上での人間の本能的な欲求。これらが満たされなければ生命の維持が不可能です。

②安全の欲求
健康や仕事や住む場所などを安定させたいという欲求。第一段階で、生きていく上で欠かせない欲求が満たされると、人はその状況を継続・安定させようとします。

③親和の欲求
組織に所属したい、友人や恋人などが欲しいという欲求。この欲求が満たされない状態が続くと孤独感や社会的不安を感じやすくなります。

④自尊の欲求
周囲から認められたい、尊敬されたいという欲求。居場所を確保できると、その場所に存在する価値のある人間でありたいと望むようになります。

⑤自己実現の欲求
理想の自分になりたい、自分らしく生きたい、という欲求。潜在的な自分の可能性の探求、自己啓発行動、創造性の発揮などを含みます。ほかの4つの欲求が「欠乏欲求」であるのに対し、質の異なる「存在欲求」であるとされています。

「自己超越」の段階

人の欲求は下位レベルの①生理的欲求からスタートし、②→③→④→⑤の順に欲求が移っていくと言われています。当然ながら、その人のレベルによって、求める商品やサービスも変わってきます。晩年、マズローは5段階の欲求階層のいちばん上に「自己超越」の段階があると発表しています。ここは、他人からの視線や他者から認められたいといった欲求はなく、見返りを求めず、自我を忘れて、ただただ達成したい目標をひたむきに追い求める領域です。あなたもたくさんのチャンスをものにしたその先にある、自己超越の領域を目指して日々努力を積み重ねましょう。

<R&Dオリジナル価値観セグメント>
弊社R&Dでは、オリジナルの価値観セグメントとして「ポテンシャル・ニーズ・クラスター」を保有しています。
アメリカの心理学者マレーの「欲求リスト」をベースに、R&Dで独自の研究を行い、人間の欲求を4つの欲求、12の欲求因子に整理しました。その欲求因子の配分パターンを9つの「ポテンシャル・ニーズ・クラスター」として分類し、生活者をライフスタイルや価値観の視点から理解するために活かしています。