#28 メガトレンドとマーケティング4.0

的確なアクションのために

市場調査を戦略的に活用していくために押さえておきたいキーワードがいくつかあります。
「メガトレンド」「マーケティング4.0」といったキーワードについて、大局的な視野を持って、市場調査で早め早めに情報を集めて、的確なアクションを起こせば、データから未来を予測することができます。

メガトレンドとは

メガトレンドという言葉は、1982年にアメリカの未来学者ジョン・ネイスビッツが著した『メガトレンド』から生まれました。世界市場に影響を与える消費者動向の長期的な移り変わりをあらわします。メガトレンドは避けることが難しい大きな流れであり、今この瞬間、そして将来の市場に影響を与え続けていきます。メガトレンドをふまえた長期的な視点で市場を分析すれば、競合企業に差をつけ、一歩先を行く事ができます。

おもなメガトレンド

「テクノロジーの進歩」「世界的な都市化の急激な進行」「地球温暖化」「食糧・エネルギー・水資源の不足」「新興国への経済力のシフト」「権力の拡散」「人口構成の変化」といったメガトレンドが知られています。メガトレンドは事実を基に認識され、多くの場合、人口動態、経済指標、気候変動、テクノロジーといったグローバル規模の実証データを裏付けとして定義されます。社会に大きな課題を突き付ける巨大な潮流で、これから企業が社会への貢献として真摯に向き合うべき多くのチャンスが存在しています。企業活動においては、これまでのビジネス慣行を破壊することになる経済や社会、政治、技術のメガトレンドを特定する必要があります。

マーケティング4.0とは

「マーケティング4.0」とは、ノースウエスタン大学のフィリップ・コトラー教授が『コトラーのマーケティング4.0』で提唱している概念です。コトラーは日本で2010年に「マーケティング3.0」を発表して、マーケティング1.0~3.0を説明し、誕生から現在に到るまで時代とともに変化してきたマーケティングの歴史を振り返っています。

マーケティング1.0

「マーケティング1.0」の概念は「製品中心のマーケティング」です。「製品主義」とも呼ばれ、戦前戦後のモノが少なかった時代から1970年代にかけてのマーケティングのことを指します。マーケティング1.0の課題は販促すること、つまり「作ったものをどうやって売るか」でした。今までにない機能や性能を広めることで市場が反応し、購買につながっていた時代です。大量に生産し、積極的に広告宣伝を行ない、お客様の購買意欲を引き出すことで買っていただくお客さまを増やすことができました。マーケティング1.0時代は、企業がお客さまに対して優位に立ち、どのような製品(Product)を、どこ (Place) で、いくら (Price) で、どのように宣伝 (Promotion) して売るか、を考える「4Pモデル」が使われました。

マーケティング2.0

1970年代になると、技術革新によって、製品を安く作れるようになり、価格競争が進みました。お客様は似たような製品の中から購入する製品を選べるようになり、企業優位の「作れば売れる」時代は終焉を迎えました。売れるもの、必要とされるものをどうやって作るかが最優先されるようになり、「消費者志向」「顧客主義」と呼ばれる「マーケティング2.0」の段階に進みました。他社よりも良いもの、お客様に欲しがられるものを作ろうという「差別化」が重要視されると同時に、良いものというだけでは買ってもらえないため、お客様の感情を満たす必要が出てきました。そこで「4Pモデル」に代わり、Segmentation、Targeting、Positioningの頭文字を取った「STP分析」で、市場を特性ごとに細分化して、ターゲットを決定し、そのターゲットセグメントにどう認識されるかを分析し戦略を立てるようになりました。

マーケティング3.0

1990年代以降、さらに企業間競争が激しくなる一方で、それまでビジネスとは無関係だと考えられていた、環境問題や教育などに取り組む企業が現われてきました。利潤を追い求めるだけでなく、自主的に社会に貢献するべきであるという考えが広がってきたのです。
インターネットの登場で、お客様は今まで知ることがなかった情報にアクセスできるようになり、企業の社会的責任に注目が集まり始めました。企業は社会にとって有益な存在であること、これが「マーケティング3.0」の概念です。物質的な充足にとどまらず精神の充足をも目指す、人間中心のマーケティングです。私たちが生きる地球をよくするものが求められるようになったのです。

マーケティング4.0

地球をよくするといっても、具体的に何をすればいいのかという声に応えて書かれたのが「マーケティング4.0」です。2010年代になると、市場には環境に配慮するような製品も増えてきました。そして、お客様の購買プロセスが、さらに変化したので、マーケティング4.0が提唱されたのです。
お客様がある製品を購入するに至るための道筋には、知り(Aware)→魅了され(Appeal)→調べ(Ask)→購入し(Act)→周りに薦める(Advocate)という、「5A」の段階が存在すると述べられています。マーケティング4.0の概念は「自己実現のマーケティング」で、大切なのは「お客様の自己実現を支援するような商品・サービスを開発すること」です。自己実現はマズローの5段階欲求説の最後の段階である自己実現欲求に基づいたものです。マーケティング4.0はマーケティング3.0を補完し、広めていくためのものです。マーケティング4.0も、基礎となるのはマーケティング1.0や2.0です。4PモデルやSTP分析を実行した上で、3.0や4.0の概念を取り込むことでチャンスを掴む可能性は飛躍的に高まるでしょう。